髑髏城の七人@青山劇場

2011/10/8 ソワレ



出来についてはもう文句ないです、演者たちには。里依紗の声の状態がいろいろ言われてたので心配してたんだけど、8日ソワレに関しては、枯れてはいるけどちゃんと聞こえてたと思う。あとは、無界襲撃のシーンでの兵庫と太夫で泣いた。元々泣けるシーンではあると思うけど、本当に泣いたの初めてだわ、たぶん。捨天蘭と比べると、一番手が加えられていないキャラだったぶん、よくがんばったなー、じゅんさんの持ち役をよくぞここまで、と感動したよ勝地に。捨は、優男の印象が先行してたけど、どっしりしてきたなぁ。まごうことなき主役だったと思った。9/13が自分的初回だったんだけど、そのときから小栗捨の印象は、私はそんなに悪くなくて。3回観て、今回初めて百人斬りで捨が刀落としてたんだけど、そんなの帳消しって感じでした。前も書いたけど、刀の鞘を捨てて行くシーンが好きすぎてね…毎回ぐっときます。贋鉄斎への「だったらとっとと研いでくれ!」のとこも好き。

天は、個人的な好みの問題だと思うけどもうちょっとどっしりしてて欲しかったというのが正直な感想。捨蘭との関係性だけを見れば今回のキャラもありなんだと思うけど、その関係性だけの役じゃないしね…。影武者設定を捨てた時点で、髑髏党の面々が何故天に付き従うのか、という点が弱くなってしまっている分、せめてキャラはどっしりしてないと、どうして人がついてくるのかという説得力が弱くなっちゃうなぁと。ただ、それ以外のとこでは、薄っぺらい天魔の設定に沿うようになってた気はするけど…。でもどう考えてもあの天魔王に将監が従うのとか説得力に欠けるんだよなぁ(苦笑)初見のときは、将監がまさかのラスボスかと本気で思いましたよ。やってるの粟根さんだし(笑)

今回の影武者設定を捨てた脚本に関しては、新しい物語を紡ぐ方法としては悪くはないけど、一つ変えたことで生じた歪みを直しきれていなかったかなーとは思う。

あとは、追加された太夫→蘭設定は本当に必要だったのかと。単に無界を一緒に作ってきた同志としての設定だけでも、十二分に蘭の最期は描けた気がした。確かにその設定があるとより切なさは増すんだけど、正直捨のセリフで匂わされる以外のシーンでは汲み取りづらかったと思う。その設定を頭に入れた上で見ると、確かに諸々のシーンでそう見えるんだけど。

蘭は、最初っから蘭兵衛じゃなくて蘭丸だったんだなーという感じだった。無界のピンチ(おさとと源右衛門のシーン)を救うのが、太夫じゃなくて蘭だったら もうちょっと無界への思い入れも描けたんだと思うけど、そこを太夫に振っちゃったしねぇ。終わって振り返ると、登場シーンの捨のセリフ「無駄に殺しすぎだぞ、蘭兵衛!」の時点から、*1という本能寺のあと彼はずっと過去を捨てきれない蘭丸のままだったんだなーという印象だった。あ、蘭の無界への思い入れを削った分、蘭の最期のシーンの切なさを増すために、太夫→蘭設定にしたってことなのかなぁ。

贋鉄斎はおもしろ部分の担当としても素敵だったけど、天魔王と最初に対峙するとこ良かったなー。ああいう聖子さんの決め台詞ってハマるのだよね。ゴエロクのときも思ったけど。

総じて個人的には満足だったかな。まあ大阪じゃなくて東京が初見だったからその分のアドバンテージもあるんだろうけど。

*1:考えてみたら、蛮幽鬼のときも惜春に「殺しすぎたな」って刀衣は言われてたんだな/笑。太一の役柄って…。